上海EC企業視察レポート

上海

2017年9月1日~3日、上海のEC関連企業を視察してまいりました。

楽天上海様

上海楽天

中国では楽天トラベルだけちゃうん?という噂でしたが、意外と越境ECもがんばってました。熊本出身で、日本の楽天でもECコンサルタントをやっていた葉さんが担当。

中国のECは、日本のような自社サイトでは誰も買わず、ネットショッピングといえば大手モールになります。そして、天猫(Tモール)と京東(ジンドン JD)の2強でシェア8割。ただし、越境ECでは考拉(コアラ)がトップです。

楽天は、考拉やJDにモール内出店するやり方をされていました。出店して、日本の楽天店舗の商品を販売しています。

やり方は2種類あって、代行販売方式と保税輸入方式。

代行販売方式は、商品数をたくさんアップして、売れれば日本の店舗からEMS直送、または受注商品をある程度まとめて中国に持ってきて個別配送します。メリットとしてロングテールでいろいろな商品を販売できますが、デメリットとしては配送日数がかかったり送料が高くなったりします。フィギュアやファッションアイテム向き。

一方、保税輸入方式は、予め保税区内に商品を在庫し保税区から出荷するやり方です。配送スピードは速くなりますが、在庫リスクが出てきます。したがって、必ず売れる見込みが立っている売れ筋商品になります。化粧品など。

株式会社GL-Plazaジャパン様

上海伊勢丹

上海伊勢丹で日本製の食品を中心に販売されています。売れ筋傾向や中国人の嗜好性など現場に即したお話を伺いました。

お菓子は日本よりずっと高いんですが、よく売れるそうです。お母さんが子供には安全な日本のお菓子を与えたい、ということらしいです。また、おすそ分けの文化があるので、中国用に個包装された商品も作っているとのこと。

また、JP Plazaという高級百貨店?内に日本メーカー用のアンテナショップも運営されていて、そちらも見学させていただきました。

beauty works 様

beauty works

微信(ウェイシン。WeChat。中国版LINE)、微博(ウェイボー。中国版Twitter)といったSNSの運用やリスティング広告などでの集客支援をされています。中国ではLINE、Facebook、TwitterなどのSNSやGoogleは基本的には使えません。その代わりに上記サービスが広く使われています。

中国のEC市場としては、2016年1月からの「二人っ子政策」もあってマタニティ市場の伸びがすさまじいらしい。2018年には50兆円を超える見通し? 全EC売上の40%を占めちゃいます。また、越境EC市場では、やはり化粧品の人気は高くて4割ほど。韓国と日本が2強です。運動器具も右肩上がり? たしかに、街行く人も太った人が多い。健康関連はまだまだ伸びていくでしょうね。

J-GOというサービスもされています。

インバウンドの訪日中国人向けに、日本のお土産を旅行前に予約しておいて日本の宿泊ホテルで受け取る、というサービスです。なるほど。日本滞在中にお土産を探し歩く手間がなくなるし、買いに行った店で売り切れていた!ということもなくなりますね。

ちなみに、インバウンド対策で日本企業の勘違いあるあるも教えていただきました。

「いや~、うちはインバウンド向けに中国語のサイト作ってますから!」

といっても日本のサーバーに上げていたんでは、中国からは実質的にほぼ見れないんですね。表示されるまでに数分かかったりとか。中国政府の規制のためです。

中国のサーバーが必要。そして、香港のほうが安いし、スピードも本土と遜色なくなっているとのこと。TモールやJDも香港サーバーらしいです。

ADWAYS様

ADWAYS

ECビッグデータを活用して日本や中国のEC市場や競合の状況を分析できるサービス「NINT」をご紹介いただきました。データ活用の得意な会社ですので、中国EC市場についても興味深いデータをいろいろと教えていただきました。

もう中国のEC市場規模って世界でダントツになっているんですね。2016年は9276億ドル。2位が米国の3983億ドルですから2倍以上です。しかも成長率が、なんと40%! インドもびっくりの56%ですが、それ以外はどこも20%以下。ちなみに、日本は774億ドル、6%。桁が違いますね。。

株式会社エフカフェ様

エフカフェ

天猫国際やJD Worldwideといった越境ECモールへの出店について、運営代行などサポート支援をしてくれる会社です。

そもそも中国人って越境ECの利用率が高いんですね。中国35.4%、米国24.1%、日本12%。美容やマタニティなど中国国内で品質の悪いものは海外に求める。

とはいえ需要はあっても、中国に現地法人を作って天猫(Tモール)に出店するというのもハードルが高い。ということで、現地法人不要で天猫国際やJD Worldwideへの出店をサポートしてくれます。

まとめ

モバイク

今回は、上海市内の狭い範囲しか移動していません。が、いろいろと進んでいる実態を感じてきました。

AliPayに加えて、WeChatPayの普及が凄まじく、「上海の人は財布を持ち歩かない」というのもそれほど大袈裟ではないように思います。スマホで支払えるのでラクだし、店側もお釣り不要でラクだから現金よりいい。

その他、交通違反はITで自動で取り締まるとか、街中あちこちで自転車を拾って乗り捨てられるモバイクとか。

EC関係のいろいろなデータをみても、日本とは人口数が違うこともあって中国はどれも規模が桁一つくらい上ですね。成長率もやっぱり桁違いです。市場としての魅力はとてつもない。

不動産の値上がりも半端ないし。元気さというか、明るさがある。

チャイナリスク?
アメリカだって…。もう今はトランプリスクのほうが大きいかも。